住宅ローンと個人再生

裁判所に借金の大幅な減額を求める手続

 個人再生は、利息の見直し計算をしても任意売却では返済しきれない借金がまだ残る場合に裁判所に申立てをすることで借金(住宅を任意売却する場合は住宅ローンの残債務を含め、また、住宅を維持する場合は住宅ローン以外の借金)の約80%〜90%をカットした残りを原則3年の分割払いで支払う返済計画(これを再生計画といいます)を認めてもらう優れた借金の解決方法と言えます。 

 この個人再生は次のような方に適しています。

自宅を手放したくないので、住宅ローン以外の借金を大幅に減額したい方。

自宅を任意売却で手放すのは仕方がないが、破産はできる限りしたくないという方。

住宅ローンの返済が苦しくなった理由がギャンブルや浪費の借金の場合で破産手続をしても免責(返済の免除)
 が得られない可能性が大きい方。

破産手続中は、銀行・保険・警備会社など特定の職業に就くことが制限されているため、これらで働いている方。
 

個人再生の種類と内容

個人再生が利用できる方

   減額後の借金を3年程度の分割で支払える継続的・反復的な収入が見込める方が対象となります。

個人再生の種類

   個人再生には次の2種類(認めれれる条件の違い)があります。

   小規模個人再生:減額後の返済(再生計画)につき債権者の反対が過半数等ないことを条件に認めるもの。

    給与所得者等再生:         〃           裁判所が判断する(債権者に反対権がなく条件緩和)。

減額される額

 小規模個人再生では、①最低弁済額減額後の借金)と②清算価値(プラスの総財産)を比較し多い方の額を
   原則3年の分割で返済することになります。

     例1) 減額前の借金総額 450万円  財産合計額 126万円 の場合  

        最低弁済額100万円 清算価値126万円126万円 =月3万5千円×36回(3年)で支払う。
 

     例2) 減額前の借金総額 450万円  財産合計額 80万円 の場合

       最低弁済額100万円 清算価値80万円 100万円 =約月2万8千円×36回(3年)で支払う。 

 ②清算価値:以下の財産合計額

現金預金
解約返戻金:仮に解約したら戻ってくる額
敷金:賃貸に住んでいる場合
不動産:評価額−住宅ローン等の担保権

自動車:自己所有のも(名義信販等は除)
退職金:仮に退職した場合の額の8分の1
その他購入価格が高額な家財など

最低弁済額 

     減額前の借金総額

※住宅維持の場合は住宅ローン以外の借金
任意売却の場合は住宅ローンの残債含め

減額後の借金

最低弁済額

 100万未満  全   額
 100万円以上    500万円未満  100万円
 500万円以上   1500万円未満  5分の1
 1500万円以上  3000万円未満  300万円
 3000万円以上  5000万円以下  10分の1

減額できない借金等

☆住宅を維持する場合の住宅ローン
☆税金・社会保険料の滞納金
☆離婚に伴う養育費
☆故意・重過失の損害賠償金など


給与所得者等再生では、上記の①最低弁済額と②清算価値に加え2年分の可処分所得(収入から法律
  で定められた生活費・居住費等を控除して算出)
の中で一番多い額を原則3年の分割で支払います。
 
 

返済年数 

3年払いですが、教育費の負担増など特別の事情がある場合、最長5年払い認められる場合もあります。

毎月払いですが、2か月に一度の年金収入等の場合には少なくても3か月に一回の支払いもあります。

例)減額前の借金総額450万円(最低弁済額100万円)、財産合計額120万円、2年分の可処分所得144万円

2年分の可処分所得144万円 =月4万円×36回(3年)で支払う。

家族と家の絵

 個人再生によるメリット
 個人再生には、次のようなメリットがあります。

上記のとおり、借金が大幅に減額されること。

自宅を手放すことなく借金の問題を解決できること。

破産と異なり、借金を作った理由を問われないこと。

破産と異なり、手続中の特定の職業の就業制限がないこと。

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